太陽系の惑星3個増えて12個へ

wine2006-08-17

太陽系の惑星、一気に3個増か 国際天文学連合が新定義 2006年08月16日19時54分


 太陽系の惑星がこれまでの9個から一気に3個増え、12個になる可能性がでてきた。チェコプラハで開催中の国際天文学連合(IAU)総会で16日、惑星の新定義が提案されたためだ。太陽系で惑星と認定されたのは1930年発見の冥王星までの9個だが、近年、新天体の発見が相次ぐなどしたため、定義の見直しを迫られていた。新定義の採決は現地時間24日午後の予定で、承認されれば、世界中の教科書が書き換えられることになる。


 これまで太陽系の惑星は、歴史的経緯から地球や金星、土星冥王星などの9個とされてきた。


 IAU総会に提案された惑星の新定義は(1)天体が自ら球状の形を維持できる重力をもつ(2)太陽のような恒星を周回している天体で、恒星や、惑星の衛星ではない――の2条件を満たす天体。これには、質量が月の約150分の1、直径では月の約4分の1にあたる800キロの天体まで含まれる可能性がある。


 新定義が承認された場合、米観測チームが昨夏に冥王星よりも大きく、「第10惑星」として発表した「2003UB313」のほか、火星と木星の間にある小惑星の中では最大の「セレス(ケレス)」、冥王星の衛星とされていた「カロン」の三つが加わる。冥王星カロンは、惑星と衛星の関係ではなく、二つの惑星が互いを周回しあう「二重惑星」とみなすことになる。


 また、今後も研究の進展に伴って、惑星の新定義に該当する天体が見つかる可能性は高いと考えられている。


 IAUは2年前から、天文学者、作家、科学史家ら7人で構成する「惑星定義委員会」を設け、新定義を検討していた。天文学は古来、神話や思想、文学、占星術など人類の文化と密接にかかわり、新定義は科学にとどまらず、歴史や文化にも影響を与えるからだ。


 セレスは直径約950キロ、カロンは直径約1200キロで、「第10惑星」は直径約2400キロと推計されている。一方、02年に発見されたクワーオワーや03年発見のセドナは、セレスより大きいとみられるが、球形が維持できているかどうかが未確認などの理由で、今回は惑星とされなかった。IAUによると、こうした惑星候補は少なくともあと12天体あるという。
asahi.com

太陽系12惑星に? 科学の進歩で揺らぐ定義


惑星の定義はこれまで自明のこととされていたが、望遠鏡やコンピューター分析装置の性能向上により、太陽系の外周や太陽系外の恒星の周囲で天体が次々に発見され、冥王星より大きい天体が出現するに至って、国際天文学連合(IAU)が科学的基準を初めて設定せざるを得なくなった。


 ただ、惑星の概念は古来、暦や星占いなどの形で生活や文化に根差しており、定義案で水星から海王星までを「古典的惑星」と分類したのは、そのためとみられる。大幅に変更して数を増やした場合、科学的には妥当でも、社会に受け入れられるか懸念される。


 また、惑星や多くの小惑星の名は従来、ギリシャローマ神話から採られていたが、記号の仮称しかない新惑星が続々と誕生すると、どう命名するか、日本では和名をどう付けるかという問題もある。


 IAUは定義案を約20人の部会で1年以上議論したが、意見を集約できず、天文学者や作家、歴史学者ら7人の委員会が今年6月末ごろに2日間集中討議し、まとめた。国立天文台によると、24日の議決で反対や慎重論が多い場合、決着が3年後の次回総会に持ち越される可能性もあるという。
(2006年8月17日 FujiSankei Business i.)