Tangerine Dream live at METAMORPHOSE 09

(2018-08-08 メモ)
Tangerine Dream のライブを生で見る事ができるとは!!
修善寺日本サイクルスポーツセンターで開催される『METAMORPHOSE 09』に出演する
TaDreamのライブをベスと観てきた。


Tangerine Dream のライブと言えば
徐々に変化していくシークエンスメロディと
各メンバーの即興で構築された1980年代までの物が最高で、
Johannes Schmoelling 脱退後は既発表曲の生演奏やら
シンセサイザー以外の楽器が加わったりだったので
今回のコンサートも音楽自体にはそれほど期待せず、
とにかく初(そして多分最後)の生Tangerine Dreamというところが重要。
生演奏に接する事ができて満足。
コンサートが終わった後は、広い会場内をベスとぶらぶらと散歩して
適当に切り上げて帰路に着いた。



ところで、いま METAMORPHOSE 09 でググってみたら Nujabes も出演していたんだ。
知っていたら。
まぁ当時はまだ聴いていなかったけど。


当日のフェスの様子はオフィシャルサイトのギャラリーにて。
65枚目〜84枚目がTD。
(そうそう、こんなだった)

セットリスト等はもはや覚えていないが筋金入りのTDファンによる下記Blogに詳しい。

Tangerine Dream 伊豆Metamorphose part1
Part1 鰻、温泉、サイン会

Tangerine Dreamの1983年6月以来26年ぶりの日本公演を、9月5日に伊豆のサイクル・スポーツ・センターで開催された、Metamorphose09で見た。タンジェリン・ドリームを見るのは、1983年6月28日の大阪フェスティバル・ホール、2008年7月18日にドイツ、ローレライのProg Fesで見て以来、3度目。メタモルフォーゼは、過去にあのAshraのManuel Gottschingを2度も呼んでいて、E2-E4の完全再現ライブをさせていたりして、ジャーマン・エレクトロニクス・ミュージックの黎明期を築いたミュージシャンに敬意を払っていることがよくわかる。

タンジェリンについての個人的な概要は、昨年見たローレライの感想でいろいろ書いているので、そちらを参照していただくとして、メタモルフォーゼのライブに絞ってレポート。

3月に出演者のラインナップに加わったことが発表され、すぐにチケットの先行抽選販売に申し込んで当選。当日券が1,3000円のところ、9,500円とかなりの割引率。26年前は行けなかった友人とレンタカーで見に行くことにし、2,000円の駐車場券も予約し、1人で行くことになった場合に備えて、2,500円テント券も予約。チケットは公演2週間前に届いた。友人がレンタカーを借りてくれることが確定したので、テント券は不要となり、mixiでテント券を探している方に打診し、買っていただいた。

Izu01Izu029月5日当日、溜まっていたマイレージの無料航空券で飛行機で羽田に飛んで友人と合流し、3,890円の自由席の新幹線で三島駅に。予約していた1日9千円代のレンタカーを借りて、タモリもお勧めという三島のうなぎを食べることにする。店はレンタカー屋のおねーさんに勧めてもらった「うなよし」に決め、現地に向かうも凄い行列で、炎天下に店の前で30分、店の中で30分待つ。しかし、それだけのことはあり、口どけするほど素晴らしい2,950円の「上うなぎ丼(うなぎ1.5匹分)きも吸物・香の物付」を食べて、一生に一度の贅沢で幸せな気分になる。

その後、予約していた 会場最寄の修善寺にある1人5,880円の温泉宿に到着、露天風呂で疲れをとって、ひと眠りする。タンジェリンの出演時間は21:50からだったが、直前になって、急遽19時からHMVブースにてサイン会が行われるとの情報があったので、16時半ごろ会場に向けて出発。

Izu03Izu04Izu0517時前に到着。思っていた以上に凄い人で、WIREとはまた違った若いレイヴ層の幅の広さを実感する。天気も良くて凄くいい雰囲気。紙製のエコなリストバンドを貰って、会場に入る。タンジェリンの出るSolar Stageではすでに1番目のゆらゆら帝国の演奏が始まっており、かなりの観客も集まっていた。初期ピンク・フロイド風のサイケデリックサウンド

Sign00とりあえずサイン会のあるHMVブースに行き、CDを買ってサイン会の整理券を貰う。友人はフェードラの紙ジャケを買ったが、私はEASTGATEレーベルの日本盤紙ジャケで持ってないものを適当に買った。サインは去年見たLoreleyのコンサートのDVDを持参したので、インナースリーヴにしてもらうことにした。

Izu06Izu07膨大な屋台ゾーンが観客スペース後方に並んでおり、食器などは100円のデポジットをとって、ゴミステーションで払い戻すという効率的というかドイツとかでよくやる手法がとられていた。日が落ちて満月が出て雰囲気のある会場で、ビール、タンドリーチキン、タイラーメンなどを食べる。

Sign01Sign02Sign0319時前にHMVブースに再度行く。本当にEdgar Froeseを含むメンバー全員が登場し、ブースの席に横1列に座った。海外でのファン・イベントなどでもフローゼ御大はめったに顔を出さず、Linda SpaとIris Camaaの女性メンバー2人だけが参加するファンの集いなどもあったようなので、これは貴重だった。ラインナップは去年のローレライの時と同じで、安定している。エドガー・フローゼは黒のカウボーイ・ハットをかぶってサングラスを着用。彼の新しいパートナーのBianca Acquayeと思われる女性が脇に立って、ひたすら写真を撮っていた。

ブース前は写真を撮る人で溢れ、思ったより若い人達も集まっていた。皆、伝説のグループに興味があるようだ。やはり並んでいる層は年配が多く、2ちゃんねるのメタモルフォーゼ・スレに「おっさんホイホイ」。と書かれてしまったほど・・・。右から順番にThorsten Quaeschning, Edgar Froese, Iris Camaa, Linda Spa, Bernhard Beiblとサインを貰っていく。

自分の順番が来て、ローレライのDVDのインナー・スリーブを渡し、「去年ローレライまで見に行きました。」と言いながらサインを貰っていく。エドガー・フローゼ御大の時は、めちゃめちゃ緊張して、「26年前にも大阪で見ました。」と言うと、「おー!」と唸ってくださった。握手もしてもらい感激。その時はテンパっていたが、「この手があのZeitを含む数々の名作を作った手なのだ・・・」と思うと、後になって恐れ多い気持ちになる。イリスとリンダは、近くで見ても凄く美しくて、華があるなーと思った。彼女たちの加入はタンジェリンに新しい方向性と活力を加えたと実感。

若い人たちもCDを買ってサイン会の列に並び、海外から来たと思われるファンの姿も見えた。(後にオフィシャル・サイトのフォーラムを読んで解ったが、オフィシャル・サイトの応募によって招待されたフランスのファンらしき人もいた。)少し時間を残して、列がとぎれたので、サイン会は終了。メンバーは歩いて、次のBill Laswell presents Method Of Defianceのサウンド・チェック中のバックステージに戻っていった。

Mod01ほどなくBill Laswell presents Method Of Defianceの演奏が開始。ビル・ラズウェルはフレッド・フリス、アントン・フィアーとトリオでMASSACREのナンバーを演奏したPulse From New Yorkを1984年に、ジョン・ゾーン、ミック・ハリスという凶暴なラインナップのPain Killerを1991年、京都西部講堂で、元クリームのジンジャー・ベイカーを交えたMaterialを1992年に見て以来4度目。ゲストの近藤等則もMISJA MENGELBERG'S I.C.P.ORCHESTRAを1982年に、IMAを1990年に見ている。今回の内容はターンテーブルとラップを駆使したドラムンベースで、Bernie WorrellもいてMaterialに近いものを感じ

Tangerine Dream 伊豆Metamorphose part2
Part2 老人と若者の宴。音と光の洪水。

Tangerine01Tangerine02Tangerine03Method Of Defianceの終了後、セット・チェンジが行われ、サウンド・チェックはローレライの時のようにメンバー本人が出てきて行っていた。シンセの後ろには最近の定番となっている巨大ディスプレイにシンセ・ソフトの画面を映したセットが組まれた。これって、実際はアナログ・シンセのつまみ類を表示しているだけなら、書き割りだけでもいいんじゃないかなーと思ったり・・・。
ギターのBernhard Beiblはギターとヴァイオリンのチェックを入念に行い、パーカッションのIris Camaaもコンガを中心に生音をじっくりとチューニングしている。ほどなく御大エドガー・フローゼがステージ左側にセットされたシンセサイザーに座って、チェック開始。パートナーのビアンカが傍でいろいろ話しかけたり、写真をとったりしていた。PAからタンジェリン独特のシーケンス・サウンドが出ると、「うぉー!」という歓声が。いよいよ盛り上がってくる。

満月だったのだが、サウンド・チェック中に雲ってしまい、ちょっと残念だったが、ローレライの時のように雰囲気は最高で、より広大な野外空間でタンジェリンが体験できると思うと、わくわくしてきた。エドガー御大の正面から2列目あたりを陣取って、その時を待った。
21:50になってスモークが炊かれいよいよライブ開始。

Tangerine04Tangerine051曲目のシーケンスサウンドで、歓声が上がる。実際にライブを体験しない限りは分からない、とてつもない重低音が響き渡る。まぎれもなくタンジェリンの音だ。しかし何だ?これは?ちょっと曲目がわからない。一瞬"Hyperborea"の"Cinnamon Road"かと思ったが、違う。Bernhardはヴァイオリンを演奏している。結局あとで、シド・バレット追悼アルバム"Madcap's Flaming Duty"の1曲目、"Astrophell And Stella"のボーカル無しヴァージョンと判明。これをオープニングにもってくるとは思わなかった。照明の効果は薄明るかったローレライの時と違って、美くしく。レーザー光線なども素晴らしい効果を発揮していた。

"Tangram"の効果音で繋いで、次の曲もわからず、これも持っていないサウンドトラック・アルバム"Flashpoint"の"Going West"だった模様。もってくるところがマイナーすぎる!(汗)

Tangerine06Tangerine07そして、ローレライで見た時のオープニングだった"One Night In Space"でベルンハルドのギターが炸裂し、歓声が上がる。スティーヴ・ヴァイ・モデルでソロを弾きまくって、これが大ウケしていた。やはりエレクトロ・ミュージックの若いファンもテクニカルなギター・ソロが好きなようだ。ローレライの時はギターの音がほとんど聴こえず、曲の実像がつかめなかったが、今回は完璧なサウンドで圧倒された。

ビジュアル的にもパーカッションのイリス・カーマが大活躍していて、とにかく激しく叩きまくっていて、全く動かないエドガー・フローゼと対照的。躍動的な現在のタンジェリンを象徴しているようだ。

続く曲は、ローレライの時から大好きになった"Boart To China"。近年のナンバーで一番好きな淡々としたお経のようなリズムの曲。イリスのマーチング・ドラムとリンダのソプラノ・サックスが素晴らしい。サウンドに問題があるのか、エドガー・フローゼはときどき、ビアンカを傍に呼んで演奏しながら何か話していた。

Tangerine08Tangerine09続いてもローレライと同じ流れで"Lady Monk"で、マイナーなシーケンス・パターンが不気味で良い感じ。"Sally's Garden"では、黒い魔女のような衣装と帽子でドレスアップしたリンダがステージ前に出てきてドラマチックなバラード調のサックス・ソロを展開。とてもレイヴ系のフェスティバルとは思えない展開だが、良好な反応の拍手で盛り上がる。

次は懐かしい1985年の"Le Park"からアップテンポのタイトル曲。非常にレア。そして1983年の"Hyperborea"から"Sphinx Lightning"のアップテンポなハイライトを演奏。これもレアな曲。どうやら、前回の来日後のレパートリーをおさらいしていく気なのかもしれない。そして、リドリー・スコット監督の"Legend"(これももってないのでわからなかった)、"One Night In Spaceのカップリングの"I Could Hear It When The Moon Collapsed On Broadway"がドラマチックに演奏される。

2chのメタモルフォーゼ・スレで若い人が「T-スクェアみたい」と書き込んでいたが・・・。そ、それを言われると・・・。微妙な気分だけど否定できず。ここまでドラマチックにサックスを吹かれたらねー。

Tangerine10Tangerine11そしてドイツのアンダーグラウンド・ミュージックだった1974年タンジェリンを世界に知らしめた"Phaedra"のシーケンス・フレーズが出てきたときは、思わず叫んでしまった。2005年ヴァージョンのアップテンポな部分の抜粋だが、これはオールド・ファンも若い観客にも大受けで、私の前で150cmくらいの女の子が髪を振り乱して踊り狂っている。70年代のタンジェリン・ドリームのライブでは考えられない・・・。この時、単独ではなく本当にメタモルフォーゼに出演して正解だったと思った。レーザーの効果も最高潮だった。

続いてチル・アウトするような静かな"Love On A Real Train"はトム・クルース主演の"Risky Business"のナンバー。今回はサウンドトラックからの演奏が多い。

"Stratosfear"のロック・ヴァージョンで観客の興奮も絶頂に達し、ベルンハルドのギターも炸裂し、若い観客が叫びまくる。今のタンジェリンの凄さを一気に発揮する曲。ローレライのアンコール時よりも感動した。かつて70年代のNHKの教育科学番組の定番BGMだった曲が、2009年の野外レイヴで激しく演奏されることになるとは・・・!

なんか燃え尽きてしまって、これで終わったほうが良かったのかもしれないと思ったが、まだ本編は終了せず、昨年出たシングル盤の曲"Angels In Barbed Wire Robe"がプレイされる。このライブがワールド・プレミアらしい。"Midwinter Night"もゆったりした雰囲気で、サックスが効果的。しかしここまでメロウな雰囲気になると、もはやシンセサイザー・トリオだった頃とは別バンドといってもいいかもしれない。

本編ラストは"Peter Gun"のテーマのような"Leviathan"。ローレライでも中盤に演奏された。なんか陰鬱に盛り上がって不安を残して終わっていく感じ。

アンコールの拍手と歓声が続くが、もう出演予定時間の90分がたってしまっていた。しかしタンジェリンは再びステージに登場し、1989年の"Lily On The Beach"を演奏。ここでもサックスが効果的にフィーチャーされていた。続くは無機質ながらも温かみを感じさせる"Hyperborea"のナンバー、"Cinnamon Road"で、ここで演奏されて、1曲目がやはりこの曲でなかったのだと確信。ギターは控えめで、本来のトリオ時代のタンジェリンの音である。

後期ヴァージン時代の曲が続き、またまたサウンド・トラックマイケル・マン監督の『ザ・クラッカー』"Thief"から"Scrap Yard"とレアすぎる選曲。今回演奏されたサントラ曲は4曲もあって、これなら最初にやったサントラの『恐怖の報酬』なんかも演奏してほしかったと思ったり。ギターのカッティングで攻める奏法がウケていた。

もう持ち時間を大幅にオーバーしているにもかかわらず、タンジェリンは4曲目のアンコールに突入。現ラインナップに近づいた2005年の"Jeanne D'Arc"から"La Joie"をダメ押しのようにドラマチックに演奏。

結局、持ち時間を15分オーバーしてようやくライブは終了。最後にエドガー・フローゼがマイクを持ち、Linda Spa、Iris Camma、Thorsten Quaeschning、Bernhard Beibl の順番にメンバーを紹介。感謝の言葉を述べて、"Maybe to next time, Arigato, Sayonara!"と日本語で挨拶。興奮の絶頂で終了。もう何も言うことはないほど完全燃焼しました。

友人とステージ前で茫然自失状態となっていたら、全く見知らぬ若いカップルが、私のタンジェリンTシャツを見てか、「いやー!素晴らしいライブでしたねー!」と握手を求めて来た。「本当に良かったですねー!」と2人と固い握手を交わした。

この瞬間。本当にメタモルフォーゼの出演で、良かったと確信。若い人たちにとっては伝説でしかなかった、全てのシンセサイザー・ミュージックの元祖のタンジェリン・ドリームをあまり予備知識もない状態で、最高の環境で生で体験してもらえて、本当に良かった。後で2chのメタモルフォーゼのスレッドでもダサかったとか、思ったよりつまらなかったとかいう意見もあったが、何よりも、生きている間にタンジェリンを体験できたこと、そして70年代に遡って彼らの作品を聴いたとき、現状のレイヴなど凌駕するほどいかに最先端を行っていたかを知ってもらえる機会が作れたことを思うと、このフェスティバルに招聘してくれた主宰のMayuriに、スタッフに心から感謝。

友人と温泉旅館に戻って、爆睡。エドガー・フローゼも温泉につかったのだろうか。

Edgar Froese / Keyboards, Guitar
Thorsten Quaeschning / Keyboards
Linda Spa / Sax, Flute, Keyboards
Iris Camma / Percussion
Bernhard Beibl / Guitars, Violin


1. Astrophell And Stella-bridge with Tangram Sounds (Madcap's Flaming Duty, 2007)
2. Going West (Flashpoint, 1984)
3. One Night In Space (Views From A Red Train, 2008)
4. Boat To China (The Anthorogy Dagades, 2008)
5. Lady Monk (c/w Sleeping Watches Snoring In Silence, 2007)
6. Sally's Garden  (Choice, 2008)
7. Le Parc (Le Parc, 1985)
8. Sphinx Lightning (The End)-Nice Bridge (Hyperborea, 1983)
9. Legend (Legend, 1986)
10. I Could Hear It When The Moon Collapsed On Broadway (c/w One Night In Space, 2008)
11. Phaedra (Phaedra 2005, 2005,1974)
12. Love On A Real Train (Risky Business, 1983)
13. Stratosfear (Stratosfear, 1976)
14. Angels In Barbed Wire Robe (Fallen Angels, 2008)
15. Midwinter Night (Turn Of The Tides, 1994)
16. Leviathan (Views from A Red Train, 2008)
encore:
17. Lily On The Beach (Lily On The Beach, 1989)
18. Cinnamon Road (Hyperborea 2008, 2008,1983)
19. Scrap Yard (Thief, 1981)
20. La Joie (Jeanne D'Arc, 2005)

オフィシャル・サイトのTD FORUMによるセットリストを参考にしました。

最後に1983年に見た時のチケット
Tangerinedream83