CD温故知新

  • Oxygen / Jean Michel Jarre / Dreyfus / 1976
    • フランス音楽界を代表するシンセサイザー奏者にして大女優シャーロット・ランプリングの夫。デビュー作のこのアルバムがいきなり全世界で数百万枚売れたんじゃなかったっけ。確かに完成度高くて既にスタイルを確立しているし、今聴いても古臭さを感じない。彼の名前を知らない人でもこのメロディには聴き覚えがあるという人が多いでしょう。このアルバムの続編で1997年にリリースされた“Oxygen 7-13”は一部だけがすんごくいいが、オリジナルOxygenは全曲よくて大傑作。ジャン=ミッシェル・ジャールはライブパフォーマンスも非常に評判が高く、80年代(90年に入ってたかな?)にフジテレビの招聘で日本でもライブを行う予定があったようだが(下見までしていた)、このイベントに積極的だった当時のフジサンケイグループの重役が企画半ばで他界してお蔵入りになったらしい。すんごく観たいのでまた来て欲しい。
  • Encore / Tangerine Dream / Virgin / 1977

Tangerine Dream諸作品群の中で最高傑作だと思う。70年代のT.Dは曲想に取り留めがなく暗鬱過ぎる。80年代中期から現在のT.Dは主張が限りなく希薄な(はっきり言うと面白くない)ニューエイジミュージックに成り下がってしまっている。
T.Dは80年代前半の数作品がほんとうに素晴らしい。カッコ良い。
彼ら専属のカスタムシンセビルダー:ヴォルフガング・パームが試作したPPGシンセサイザーの完全孤高の音色(このシンセサイザーの音色は他のシンセサイザーにはどう逆立ちしても出せないもので、ちょっと専門的になるがデジタル化された音色波形を時間軸上で連続読み出しするという電子式合成音製造機史上初のシステムが採用されている)。それを専用コンピューターでシーケンスするという当時としては画期的な制作方法。結果来上がったものは唯一無二のT.Dワールド。
冷たく、渋く、パトスよりロゴスに訴えかけるサウンド。いまさら言われているリスニング・テクノなどと表される領域ははるか22年前にT.Dによってなされていた。
カッコ良い。ほんとうにCOOLなサウンドである。

タンジェリンドリームの諸作品の中で、私が一番最初に聞いたアルバムがこれです。ちょっと前に加入したヨハネス・シューメリングの影響か、ルビコンリコシェ、ましてや最初期のアルファ・ケンタウリとかのどろどろした実験的な音楽性は微塵も感じさせないポップな音楽です。後のアンビエント的な癒し系の静粛さもなく、まるで躍動感ある映画音楽のよう。でも、さすがクラフトワークと並ぶエレクトロニック・ミュージックの第一人者だけあって、その音楽構成は凡百の同じ音楽性のグループとは比べ物にならないハイ・クオリティーのものです。特にシーケンサーの使い方は素晴らしい。初期ばかりクローズアップされ、1980年以降は全然評価されないこのグループだけれども、私は「ツァイト」とか「フェードラ!!」より全然こっちのほうが好きなんだけどなあ。