情報操作とボスニア紛争

藤原新也のウェブエッセイの2005年9月13日の記事『言葉の行方』で次のように紹介されている。

 何年か審査をやっている「新潮ノンフィクション賞」の2年前に受賞作となった高木 徹さんの「戦争広告代理店」で「エスニッククレンジング」という言葉が出てくる。これは造語であり、このたったひとつの言葉の発明がボスニア戦争の戦況を変えたというレポートはイメージや言葉というものが人心を動かすメディア時代の象徴的出来事として、なかなかリアリティがあった。
 この綿密に計算された新しい言葉はナチスの民族淘汰を連想させ、ユダヤロビーを動かし、ボスニア戦争にアメリカの介入のきっかけをつくったわけだ。

で、時期的に、冬季オリンピックフィギュアスケート⇒ビット⇒サラエボって連想で興味を引くタイミングだったので読んでみた。
(知人が紛争後の現地で国連平和維持活動に従事していたというのもあるし)
マスメディアを操り国際世論をもコントロールするPR企業の脅威を圧倒的な筆力で描いていて、抜群に面白いノンフィクション。
読み始めたら、カッパエビセンのようにヤメラレナイトマラナイで困った。

「情報を制する国が勝つ」とはどういうことか―。世界中に衝撃を与え、セルビア非難に向かわせた「民族浄化」報道は、実はアメリカの凄腕PRマンの情報操作によるものだった。国際世論をつくり、誘導する情報戦の実態を圧倒的迫力で描き、講談社ノンフィクション賞新潮ドキュメント賞をW受賞した傑作。(amazon.comレビューより)