携帯電話で買物

時間が空いたのでメールの整理をするため未読メールを読んでいたらこんなのがあった。

2004.01.19付 ITニュースメール(itmail1@nikkei.co.jp) より
■日替わりコラム 【ニュース&レビュー国内編】
 今回は、財布代わりの携帯電話、ICタグの実用化、生体認証を利用した新しい銀行預金、ニュースサイトの統合という4つのニュースを取り上げた。このうち、携帯電話による買い物、ICタグによる物流管理、銀行ATMでの生体認証などは技術的には以前から繰り返し話題になってきたもので、実証実験も行なわれてきたが、いよいよ今年はそのような技術が私たちの身近なところで本格的に使われ始める年になりそうだ。(分析:富士通総研

携帯電話が財布代わりに。高島屋とJCBが今秋導入(1/13 読売新聞)
 JCB高島屋が、店頭で携帯電話をかざすだけで買い物の決済ができる初めてのサービスを今年秋にも始める方向で検討している。 NTTドコモが今夏に発売する非接触ICチップ登載の携帯電話を活用するもので、レジで携帯電話をかざすだけで瞬時に決済を済ませることができ、購入代金は後日JCBから一括して請求される。大手カード各社やANA等27社が、「Edy」や「モバイルSuica」等、非接触ICチップ登載の携帯電話を使った新サービスの実証実験を昨年12月から始めているが、JCB高島屋は同業他社に先駆けて新サービスを具体化することで顧客の囲い込みを狙っている。今年は、非接触ICチップ登載の携帯電話を使ったサービスが話題を集めそうだ。

『顧客の囲い込み』のために『同業他社に先駆けて新サービスを具体化する』というのは、そのサービスがおいそれと他者にまねのできない物であり、かつ、他者に追従された場合もサービスを乗り換えるハードルが顧客にとって高い、という条件が必要だと思う。本サービスについて考えてみると、導入のために必要なものは、①非接触ICチップ搭載の携帯電話(本件ではNTTドコモ) ②決済機関(同JCB) ③サービス提供会社(同高島屋) ④①〜③をつなぐネットワーク。③については他者追従も乗り換えも非常に簡単なので囲い込みにはならないと思われる。②については他者追従は容易(というかVISAやソニーファイナンスなどが先行している)だが乗り換えについては不明。1つの携帯電話に1つのカード会社しか登録できず、一度登録したカード会社を他社に切り替えるのが困難、あるいは不可能であれば囲い込み可能。①については既にauが同様の携帯電話の発売予定を発表しているが、それまではドコモの独占。SIMカード形式の携帯電話にでもならない限り乗り換えハードルも高い。という事なので、顧客囲い込みができるとしたらJCBと高島屋ではなくドコモでしょう。しかしデパートでの買物に携帯電話で決済するだろうか。

2004.01.22付 ITニュースメール(itmail1@nikkei.co.jp) より
■今日のことば
携帯電話の電子決済
 ▽…ICチップなどを内蔵した携帯電話を使った電子決済サービスが始動する。ビザ・インターナショナルがクレジットカード機能を載せた「VISAっぴ」、ソニーグループなど27社がICチップ「フェリカ」を使って、いずれもNTTドコモと組んで実証実験を開始した。東日本旅客鉄道JR東日本)はデジタル定期券「スイカ」機能を携帯電話に載せることを検討している。
 ▽…店舗のレジで携帯を操作して買い物の支払いができるほか、現金やクレジットカード、店舗カードなど支払い手段を複数持つ必要がなくなる。会社の社員証や入場チケット代わりになるほか、ポイントカード、そして航空券や乗車券にもなる。
 ▽…携帯電話1人1台時代が目前となり、メールの浸透により操作に通じた人が増えた。常時個人が携帯するような電子機器はほかにはなく、情報インフラとして最適と各社が判断したためだ。インターネットを介した通信販売や支払いに抵抗がない人も増えている。一時はICカードに決済機能を載せようという動きもあったが、携帯が普及するほうが早かった。
 ▽…1990年代にカード型の「電子マネー」の実験が多く行われた時は、消費者は新しい仕組みを利用してくれず、結局広がらなかった。手順を覚え、使う手間を上回るほどの利便性が感じられなかったからだ。携帯による決済を使いたくなる、使わざるを得ないようなサービスを用意しないと、前回の失敗を繰り返す危険性はある。

『使いたくなる、使わざるを得ないようなサービス』が一番重要で一番難しいのは誰もが承知しているところ。90年代にビザ、マスターが提唱した電子マネーはインフラを整えただけで魅力的なサービスの提供がなかったために結局実験の域を超えられずに廃れた。今のところSUICAは成功しているようだけど、その裏を支えているソニーファイナンス電子マネー Edy についてはSUICAソニー社員以外の場所で利用されているんだろうか。
 私も Edyをチャージできるクレジットカードを持っているし、買物などの支払は極力クレジットカードを利用するが、わざわざEdyをチャージして使った事がない。その理由は ①手間かけてカードにEdyをチャージして使うことに現金を使うこと以上のメリットを感じない ②たまたまそのクレジットカードがメインカードではないので、メインカードを使ってポイントを貯めたい、という事。
 そもそも携帯電話であらゆる決済ができる事に対して、手間を上回る利便性を感じるだろうか。どうせ現金はなくならないのだから財布は持ち歩くんだし。更に、新規サービスを苦もなく利用するユーザーだったら携帯電話も1〜2年で機種変更をするだろうから、携帯のメモリーに書き込まれた各種支払手段をその都度書き換える手間がかかる。外部メモリーに保存してそれを差し替えるだけ、とかしてくれないと困るよな。