昨年12月30日にID:studio_unicorn様から頂いた『世界の終わり、あるいは始まり』(歌野晶午/角川書店)をようやく読み終えた。
「子を持つ親として読んでみての感想を聞いてみたい」というような趣旨の事を言われたような気がする。
結論から言うと、息子を持つ父親としての感想は「いまいち」。
主人公富樫修が我が子が殺人鬼ではないか?と疑い、どうすれば息子を、家族を、それよりも自分自身を守れるのか、という自己を客観視した逡巡から、父として息子にどう接すればいいのかという苦悩を経て、最後には前向きな考えに変化して息子と向き合う過程は共感できるし、そういう問いかけを提示している小説としてはよくできていると思う。
しかし「息子を持つ父親」としては、息子が本当に犯人なのか?その場合の動機は何か?という非常に気になる点を明らかにされていないので「イマイチ」。敢えて提示していないのだろうけれど…
一方、一読者として読んだ感想は、非常に面白い!の一言。
主人公があの手この手で対策とその後の展開の妄想を膨らます作中作は小説の手法として意表を突いているし文章もとても面白かった。その面白さと言ったら、富樫一家が出てくるまでは途中で何日も間を空けながら読んでいたのに、話が本題に入ってからは3時間程度で一気に読みきってしまったほど。主人公の妄想力、すごいです(読者をだましているとも言えるけれど)。
一読の価値、大あり。
歌野晶午のほかの作品も読んでみたいなぁ。
どこかに転がっていたらまた拾ってきてくださいね>studio_unicorn様
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また登録しなおさなきゃ。