世界自然遺産に「知床」決定 国内3番目の登録
日本政府が新たな世界自然遺産に推薦していた知床(北海道斜里町、羅臼町)について、当地で開催中のユネスコの世界遺産委員会(委員国は日本など21カ国)は14日、登録を決めた。ユネスコに対しては、国際自然保護連合(IUCN)が知床の豊かな生態系を高く評価する報告書を提出しており、同委員会もそれに沿う判断をした。遺産登録により、国などは、地元の協力を得て自然保護を今まで以上に強く推進できるようになり、ユネスコは継続的に監視することになる。
国内の世界自然遺産登録は、93年の屋久島(鹿児島県)、白神山地(青森、秋田県)に続いて3番目だが、海域を含む登録は知床が初めて。同委員会の審議は丸一日遅れとなっていたが、知床の登録に関しては異論は出ず、チリ、中国、ナイジェリアが支持を表明。審査は10分で終わった。
知床の世界自然遺産地域は、知床国立公園や遠音別(おんねべつ)岳原生自然環境保全地域などの陸域と、海岸線から約3キロの海域で、面積は計約7万ヘクタール。
知床は、流氷が流れ着く世界で最も低緯度の地域で、海洋と陸上の生態系が連続する食物連鎖が存在する。世界的にも高密度で生息するヒグマ、国際的な希少種のシマフクロウやオオワシ、オジロワシなどの繁殖地や越冬地にもなっている。
委員会の評価は、知床の生態系について「海洋生態系と陸上生態系の相互関係が示される顕著な見本」と指摘。さらに「多くのサケ科魚類、トドや鯨類を含む海棲哺乳類(かいせいほにゅうるい)にとっても世界的に重要だ」と高く評価した。
だが、委員会は(1)海域管理計画の策定を急ぐこと(2)サケ科魚類へのダムによる影響やその対策を示したサケ科魚類管理計画の策定(3)登録後2年以内に海洋資源の保全効果を評価する調査団を招くこと――を求めた。環境省などは今後の取り組みに責任を負うことになる。
(2005年07月14日19時57分 asahi.comより)
- 世界自然遺産とは
- IUCN(The International Union for the Conservation of Nature and Natural Resources)日本委員会のウェブサイトによると、世界自然遺産は次の4つにカテゴライズされている。
- IUCN日本委員会 http://www.iucn.jp/protection/reserve/heritage.html
- 林野庁:世界自然遺産とは http://www.rinya.maff.go.jp/sekaiisan/about/index.html